社長コラム

三国志から学ぶ(その16) 情報発信力(伝える力)

前回コラムは 「木を見て森も見る」 全体最適と部分最適について考察した。
部分最適と全体最適の共存を図るアメリカ合衆国では、異民族国家であるが故に、多様な考えを理解す
る力(多様性=ダイバーシテイ)と表現力(自分の言葉で、シンプルに、わかりやすく)等の対話力が何
よりも求められていることを述べた。今回コラムではその対話力の基軸となる情報発信力(伝える力)に
ついて、三国志のリーダー・軍師達の実例等を交えて語っていきたい。
(注:劉備玄徳=劉備 ・曹操孟徳=曹操 ・孫権仲謀=孫権 ・諸葛亮孔明=孔明)


新年は箱根駅伝をTVで見て過ごした。青山学院の4連覇は見事だった。
合間のCMは新年の駅伝仕様になっており各社趣向を凝らしたものであった。
物事の本質を見事に捉えたCM。15~30秒で視聴者に「おやっ」と思わせる企業・商品サービスイメージ
をキャッチコピーやキーワードで紐づけて購買につなげる。
我が社に置き換え「一分間で自社について述べよ」と聞かれたとすれば、自分はどのようにプレゼン
するか・・・2月8日にせまった弊社商品のプレゼンを考える。働き方改革がテーマである。プレゼンで
真っ先に思い浮かぶのが、故スティーブ、ジョブスが「iPod」を初めて披露した際の「1000曲をポケットに」
というメッセージだ。シンプルな言葉が観衆の心を捉えた。


聴衆が興味を持っているポイントは3つ。①今、何を解決すべきか? ②そのためにどう行動すればいい
か? ③そのためには何を決定すればいいか?一度に3つ以上言わないことである。
相手のことを自分の立場に置き換えて考える。相手が知りたいイメージを具体的な数字でシンプルに伝
える。


本題に戻ろう。今回コラムは三国志のリーダー・軍師達からの発信力(方針・指示命令等)と部下から
上司への伝達力(報連相等)について考察していきたい。これらが一方通行でなく、双方向での対話型に
なることで、情報共有化が可能となり組織が同じ方向に進むことができる。


三国志のリーダー達が発信する言葉の力は大きい。何故なら発信した言葉は自軍を動かす行動をつくる
からである。リーダー達の言葉には、短期的な指示命令だけでない長期的に組織内に浸透させる理念(価
値観)ビジョン(方向性)ミッション(使命観)のような根幹的、本質的なものも含まれる。ここに筆者の心に
染み入る劉備、孔明、曹操の言葉がある。
〇「大業の成就を願うならば、人心とは仁義をもってつかむもの」
  仁義をもって人心を掌握する、いかにも劉備らしい価値観である。
〇「禍は必ずくる。禍福は糾える縄の如し」
  禍福は縄のように交互に訪れる。不幸だと思ったことが幸福に転じ、幸福だと思っていたことが不
  幸に転じたりする。 成功も失敗も縄のように表裏をなして、めまぐるしく変化するものだという物
  事の本質を知り尽くした 孔明ならではの大局的な自然の摂理である。
〇「憤(いきどお)るな」
  憤ると知恵が働かなくなる「敵を恨むな」恨むと共に判断が失われる。敵を恨むより利用することを
  考えよ。人生でトラブルに遭遇した時に、どう生きるかが問題である。前を見てそこから早く立ち上
  げ、進むことが出来るかである。過ぎさったことはしようがない。現実を受け入れ今からどうするか
  が大切である。失敗とどう向き合うか?それが大切である。敗軍の将は兵を語らず。敗戦の時にこそ
  逆に軍を鼓舞奨励し、士気を高めるリーダー曹操の真骨頂の弁である。
  三国志のリーダー達の言葉には「あの人についていきたい」と思わせるような味わい深いものがある。


一方軍隊から上層部への報連相等の情報発信力(伝える力)は、企業での報告書や企画書(その背景、
目的、事実、課題、解決方法、結論、所感)の手順と同じである。
①目的を伝える ②事実を述べる ③問題点の抽出 ④自分の所感(主観)を述べる。


三国志では現場状況を絵図で伝える場面も目にした。絵図は情報発信に於いてはより効果的である。


情報発信で最もやってはいけないことは事実と自分の主観を混在させ事実であるかのように報告する
ことである。自分の思い込みが入るからだ。誤報により軍は危機的な状況に陥る。


日本人の長所としては感性が豊かで繊細で情緒的である。その反面、諸外国と比べると相手に対し、
自分の意見を、自分の言葉で、シンプルに、わかりやすく伝える表現力が課題であると言われている。
野球のキャッチボールのように相手が構えているミットに目がけてボール(自分が伝えたいこと)を
投げ入れられるか?まさに対話力とは野球のキャッチボールのようなものである。


次回コラムは、情報発信力(伝える力)を行う上で、重要な位置づけを占める事実・状況・シミュレーション等の
情報分析力ついて考察していきたい。


平成30年1月5日


 

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