社長コラム

三国志から学ぶ(その12) -映画「レッドクリフ」からみた適材適所 後篇

今月コラムは先月に引き続き三国志から学ぶ-適材適所の後篇を語っていきたい。
先月コラムでは、組織リーダーの役割の一つに権限委譲があり、それを運用していくための権限委譲組織の必要性を
説いた。その権限委譲組織の基となるのが適材適所=それぞれの人をそれぞれに適した場所で用いることで組織全体
をプラスにする。適材(人のもつ強み)を適所(強みを活かせる職務)につかせる。
人にはそれぞれに違った才能(強み)、異なった持ち味がある。その持ち味をどう活かすか、相性はどうか、組み合わ
せは大丈夫か?それらをみるリーダーの力量も問われるところだ。


三国志に登場する劉備、曹操、孫権はリーダーとしての適材(資質)、器量がなければ国は崩壊したであろう。
リーダーという大きな器の中に部下達を入れ、適材適所を施し権限を与える。劉備が軍師孔明を使いこなせたのは、
劉備のもつ大きな器(仁義・誠実)によるものであり、リーダーとしての適材があったことを証明している。
それと同時に劉備、曹操、孫権はそれぞれ自分のもつ器量、強みと持ち味を誰よりも知っていたのかもしれない。
ここで言う人の器量とは、大きく叩けば大きく音が鳴り、小さく叩けば小さく音が鳴る、大太鼓のようなものである。
(注:劉備玄徳=劉備 ・曹操孟徳=曹操 ・孫権仲謀=孫権 ・諸葛亮孔明=孔明)


料理に使われる素材にもそれぞれの持ち味がある。ニンジンがタマネギにはならないように、個々の素材の持つ特性
(強み)をいかに活かし、引き出すことができるかが料理人の腕となる。そのためには料理人は料理に合う素材の
優れた持ち味(甘味・苦味、酸味)を知らなければならない。料理は適材(素材)が適所(料理メニュー)に活かされる
ことで適材適所となる。その素材の持つ強みと弱みを上手く組み合わせることで美味しい料理が完成する。


料理と同じように組織の指導者も適正な組み合わせにより人を活かすことが大事である。その本質には料理人も組織
の指導者も素材の持ち味(強み)を活かし合う「適材適所」が何よりも求められる。組織では適材が適所につくことに
よって、その職責が最もよく果されるので全体としても活性化しプラスとなるのである。ちなみに活性化という言葉は
化学用語の化学変化を意味すると言われている。変化と言えば、個々の素材のもつ持ち味と相性関係はもちろんのこと
であるが、忘れてはならないのは「ちょっとした、さじ加減、料理の味付けは塩をちょっと入れることでガラリと変わる」
のである。仕事も同じである。細やかなことに、どれほど気が使えるか?気がつくか?そういう人材が多く育てば会社は間違いなく発展する。


「権限委譲組織」の基である「適材適所」に必要な要素は主体性/自主性である。主体性は、物事に進んで取り組む力、
指示を待つのではなく、自らやるべきことを、見つけて積極的に取り組む姿勢。同意語の自主性は、自分でいろいろと
考え発想し、自ら行うことの意である。その自主性をリーダーは部下から引き出し活かすことがリーダーの権限委譲
する上での務めとなる。適材適所を見極め、権限委譲していく部下に主体性/自主性がないとすれば適材適所、権限委譲
どころではない。組織は前段階としてまず権限委譲できる人材育成を行うことが大事である。
その人材育成とは①部下は受け身であってはならない。②人の非難ばかりする評論家にはならない。③出来ないことを
状況や人のせいにして自分を正当化をしない。④つねに当事者意識(自分の問題として捉える)をもち、行動していくこと
である。その基礎ができた段階で部下に基本的な方針を示し、責任と権限を与え任せる。任せることで部下は意欲が育ち、
知恵を発揮し、創意工夫が働く。それが出来るようになると、部下それぞれの持ち味が活きてくる。
人には人それぞれの持ち味があり、一人としてまったく同じということはない。仮に自分が他の人と同じように
やっても成功するとは限らない。互いの持ち味が違うからだ。互いの持ち味を活かす組み合わせも大事だ。
人の組み合わせの妙を知る。水と油のように相性が悪いものは避ける。まかせた後は信頼するのみである。


今年から新たに弊社アイナスは「2つのブランド力」という、組織の強みと社員個人の強みを「ブランド力」として、
互いの強みを活かしあうことで、全体の成果に貢献することをスローガンにして掲げている。組織の強み(あの
会社の商品サービスでないとだめだ)と社員個人の強み(あの人でないとだめだ)を繋ぎ合わせて価値観を共存させて
いる。そのためには社員個人は自分を知ることが大事である。①誰にも負けない自分の強みをもっているか?②自分の
強み分野を知る。③自分の得意な仕事のやり方を知る。④自分の強みを客観的に認識し、強みは伸ばし、弱みは克服
して競争力を高める。
強みを成し遂げる能力の本質は習慣的な力である。自分の強みを知るには自分の期待値(出来栄え、時間等)より
成果の方が上回ったことを強み、下回ったことを弱みとする。人との相対比較でもいい。ただ好き嫌いだけの
単純なものではない。弊社の適材適所の基本は、個々の社員の強みを活かし、弱みは他の社員の強みで補う、くさび
形効果を目指している。権限委譲組織の基となる適材(人のもつ強み)適所(強みを活かした職務)の根底には
主体性/自主性、当事者意識が存在する。


ここにケネディ米元大統領の名スピーチを紹介する。
「Ask not what your country can do for you ,ask what you can do for your country」
国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを
問うて欲しい。
これこそが「デモクラシー=リーダーがみんなを説得すること」である。この「デモクラシー」の反対語として
「ポピュリズム」=リーダーがみんなの言うことを聞く」がある。このバランスが大切であるが、筆者の私見としては、
「デモクラシー」の方が「ポピュリズム」をやや上回ることで、良いバランスが取れるように思える。何故ならそれが
利己主義(自分さえ得すれば何をしてもいい)とは違う民主主義だからである。会社もまったく同じである。
「社員を満足させること」と「社員が満足すること」は違う。どう違うか?前者では社員は受け身的であり、会社から
給与をもらうので働くことになる。後者には働いた報酬として会社から給与を得る主体性/自主性、当事者意識が存在する。


弊社はケネディ米元大統領が最も尊敬した日本人と称した江戸中期の米沢藩主,上杉鷹山の三助の思想である
「自助・互助・扶助」を教育理念に取り入れている。


平成29年6月23日


 

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