社長コラム

三国志から学ぶ(その14)タイムマネジメント・判断力の強化

前回コラムは映画「レッドクリフ」からみた権限委譲における判断・決断の要諦は何かについて考察した。
今月コラムは判断・決断を伴う時間の使い方(タイムマネジメント)と判断力の強化について語っていきたい。
(注:劉備玄徳=劉備 ・曹操孟徳=曹操 ・孫権仲謀=孫権 ・諸葛亮孔明=孔明・司馬懿仲達=仲達)


企業経営に於ける経営資源には「人・モノ・金・情報」がある。その次にくるのは時間であろう。
今後時間の重要性が益々問われている。まさにTime is money=時は金なりである。
その時間をどう活かし、どう使うのか?時間(時代)の先取り、時間を制する者が市場を制する。
そのタイムマネジメントの要諦は大きく3つある。①選択と集中②個々の人材のコアコンピテンシー(適材適所)
を権限委譲した時間管理術③優先順位と劣後順位をつけた時間の整理=優先すべきものに時間を使う。


「汝の時間を知れ」ドラッカー博士の名言である。「成果をあげる者は時間からスタートする。
計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。」
では、時間とは何であろうか?時間だけが人間に与えられた平等のものである。その時間をどう使うかによって
その人の人生が決まるとすれば、「使命」とはその時間を何に(人の役に立つこと)使うかである。
三国志に登場する劉備、孔明、曹操のそれぞれの使命とは何であっただろうか・・・


三国志に登場する孔明、仲達は時間の流れを読み切るタイムマネジメントの達人であった。
両者共に抜きん出ている点は、反実仮想性(もし、こうなったら、こうしよう、こうすべきだ)と絶妙な間
(タイミング)の取り方である。葫蘆谷(ころこく)の戦いでの孔明と仲達の反実仮想性、と絶妙な間の
取り方は見応えがあり、まさに死闘そのものであった。時間の使い方、時間の経過(敵軍の動きとそれに対応
する自軍の時間の使い方、読み方)タイミングを常に計っていた。
時間の流れをどう読むか?全体の持ち時間の枠(時間設計)と時間という枠(フレーム)に何を入れるか?
両者は時間のグランドデザイン(全体時間設計)の時間軸で、想定リスクと予期せぬリスクを時間軸に事前に
織り込んでいた。事前に想定することで時間の無駄を省くこと出来るからだ。
葫蘆谷(ころこく)の戦いでは、時を待つ(打つべき手を打ち、希望を待つ)ことの重要性を学んだ。


日常業務でも同じことが言える。全体時間設計の構築により、自己コントロールできるものと、できないものに
整理し、自己コントロールできるものだけに注力する。人・状況・時間にコントロール(支配)されるのではなく、
それらを自己コントロール可能な時間枠(計画)の中に、やるべきこととして入れ込む。
計画の要諦は、始める時に終わりを決める。いつから、いつまでに何をするかの料理の段取り=TO.DO.LIST
(買い物リスト)手順(仕込み)レシピ(いつから、いつまで何をする)=カレーライスの作り方と同じある。
全体像と目的が見えているか?優先順位は明確か?問題は相手の都合等の自分でコントロールできないことを
どうするかである。計画に落とし込めないYES(白)・NO(黒)のどちらでもないグレーゾーンをどう裁くか?
考え方としては、自分がどうしたいのか?主観でもいいから先に決めておくことが肝要である。
計画は手順・準備段取力・想定リスクの洗い出し、バッファ(余裕度)を最初に入れ込むことが求められる。


計画が出来るとそれを遂行する判断力をどう磨くか?弊社アイナスでは判断力の強化に力を入れている。
社員に考えさせる。こちらから答えは言わない。社員の考える力を奪うからだ。「君はどう思う、何故そう思うのか?」
答えは自分で考える。その強化ポイントには①相談力②思考停止ワードの撲滅③感情コントロール力
④絶妙な間の取り方⑤反実仮想性の大きく5つがある。


①相談力とは、「自分はこう思いますが、いかがでしょうか?」であり「これは、どうしましょうか?」ではない。
「どうしましょうか?」では相談された相手も困る。相談対象がないからだ。まず自分の考えを先に決めて相手に相談
することで、相手は相談内容の対象が判る。加えて確認力(思い込みを消す)+質問力(情報収集力)で強化される。
これにより提案、折衝、交渉力が磨かれていく。


②思考停止ワードは「状況がそうだから仕方ない・忙しくてやる時間がない・そんなこと言われても無理だ」
さて、これらの思考停止ワードの解決策はPDCAのC(原因分析)⇒A(改善計画)=これらをどう解決すべきであるか
の創意工夫(知恵)、改善意欲がポイントになる。では何故思考停止ワードになるのか?
原因は感情に捉われ、課題解決のための思考への切り替えが出来ないことにある。


③感情コントロール力について、実は判断力を奪うのは自分の感情である。感情が思考を消す。感情コントロール
(冷静さを保つ)できることが正しい判断を行う上での大前提となる。三国志でも董卓、袁紹、周瑜張飛が感情を
取り乱す場面を目にしたが、感情を取り乱した方が冷静な判断力を失い不利な状況に追い込まれていった。
名軍師である孔明、仲達は感情コントロールの達人で、常に冷静沈着な判断力を保ちつづけた。感情が乱れると
誰もが優柔不断となり目的を見失い冷静な判断が出来なくなる。
怒りをコントロールするアンガ―マネジメントでは、怒っている時には相手の言行に対しとっさに反応しない
「6秒ルール」がある。怒りの時に発した言葉が後で取り返しのつかないことになるからだ。三国志でもその場面を
多く目にした。特に決断者であるリーダーは感情コントロールに気をつけないと命取りとなる。冷静な判断を奪う
怒りの時でも笑ってみよう。笑いが怒り(感情)を溶かす。


上記の葫蘆谷(ころこく)の戦いでの孔明、仲達の④絶妙な間(タイミング)の取り方⑤反実仮想性(もし、
こうなったら、こうしよう、こうすべきだ)には驚かされた。名軍師たるゆえんである。
④絶妙な間の取り方は、早めのアラートを出すことにも通ずる。大火になる前の小火の時に火を消す。
小火から大火になる前までの間を消す。大火にならない前に鎮火する。大火になると手遅れになるからだ。
タイミングを見計らう重要性は、日常生活でもよくあることである。


⑤反実仮想性は、情報収集・人間観察力・洞察力・仮説検証・リスクの読み方・地政学・人と時の流れ等、
日頃からの当事者意識によって磨かれる。


判断力の本質は、考えること(思考)であり、客観性(事実分析)である。危険なことは感覚、思い込み
自分の都合だけを考えた自分勝手な判断である。日々感覚から思考へ落とす習慣を身につけるしかない。


判断力が求められるマネジメント(現場課題をどう解決するか考える役割)に対し、リーダー(マネジメント
で判断したものを)決断することである。最終決定者のリーダーは、常にあらゆることを決める人であり
全体像を把握しながら、資源(ヒト・モノ・カネ・情報・時間)の最適配分を行うことが何よりも求められる。


判断、決断の極意は、孫子の兵法「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」に、一面的な判断を戒めた
言葉として後世に受け継がれている。現在日本は他国からの脅威を受けている。現場判断とリーダーが決断
を誤ると危機的状況に陥る。リーダーは、時を待つ(打つべき手を打ち、希望を待つ)ことを忘れてはならない。


平成29年9月25日


 

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